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動画で考えるプロジェクト!「乳幼児の育つ力と外遊びオンライン講座」を初開催しました!

おやこ森のようちえん「おひさまとことこ」の舞台は、東京の住宅街にある自然豊かな都市公園です。2歳半~6歳が自然と触れ合い自由に遊ぶ!活動を広めたい!こんなに子どもたち育つんだよという姿を届けたい!という思いから、動画を撮りためて講座を開催しようとプロジェクトが立ち上がりました。

 約1年にわたり動画を撮り続けました。日頃から子どもと共に過ごすプレーリーダーが撮影するからこそ、よりリアルにより子どもたちに近づき撮影することができました。

目次

「乳幼児の育つ力と外遊び講座」について

 そして、第1回目となる講座を無事に開催!子どもたちと一緒に活動している「おやこ森のようちえん」のスタッフが撮影した動画6点を、受講者のみなさんにも視聴してもらいながら、パネラーの臨床発達心理士、作業療法士、理学療法士、保育士/プレーリーダーが、各々の専門性の視点から「子どもが育つ力」「外遊び」「大人の関わり」を考える、パネルディスカッション形式での講座です。その中の一部の動画のエピソードとパネラーのお話をご紹介します。

動画1:幼児期の身体を使った遊びの大切さ

Episode

 みつけた!トンネルだー!と、1人がくぐってみたら、他の子もマネして後に続き…次から次に、何度も何度も、くぐり続ける!遊びが始まりました。

Panel discussion

【理学療法士/得原さん】
 文科省やスポーツ庁で言われている「36の基本動作」は、できれば幼児期にこの位のいろんな種類の動きを体験しているといいよね、「自分でもやろう」「できるかな」位のところまでいっているといいよねという動きを一覧にしたものです。昔は普段の生活の中でもいろんな場所で身体を動かすことができたので、いつのまにか身についていたんですが、今の多様な動きができる機会が少なくなっていますね。小学校の身体の検査などで、しゃがめない子どもが増えているということもよく聞かれることです。
 この動画で子どもたちがやっている「くぐる」も36の基本動作にあります。しゃがんだまま動く「くぐる」は、股関節を大きくまげて、足関節、股関節、足の三関節をすごく大きく曲げてという結構キツイ動きです。でも、こんなふうに自然の中で遊びながら、「くぐりたい!」という楽しい気持ちで、こんなに多様な動きができることがいいですね。みんなやりたいから一生懸命で、すごくいい身体の使い方をしています。36の基本動作ができるようになるために習いに行けばいいというものじゃないですよね。

【作業療法士/元住さん】
 例えば、地震で「机の下に潜ってー」と言われたときに、自分が入れそうな机の下はどれか?深く考えなくてもわかるのは、自分の体の大きさや動かし方を大体わかっているから。専門用語でいうと身体図式やボディイメージが育っているからです。この動画でトンネルをくぐっている子どもたちは、ちょっと頭がひっかかりそうになったり、この隙間なら他の子を追い抜けるとか、ぶつかったからこうしてみようと考えたりしながら、物と自分との関係を学習しているんですよ。幼児期は、自分の体の大きさとか体の動きを把握することが必要で、それはこうした遊びの場面で育つことです。

動画2:子どもの発想力、想像力を伸ばすには

Episode

 棒を持って坂道を登る子を見ていた3歳の子が、自分も!と、長い棒を引っ張ってきて坂を登り始めました。でも、その棒はとても長くて…思うように登れない。すると急に「おさかなつーり」と言い出して、長い棒の先を坂道の下の方に向けました。その子の頭の中では、坂の下は海で魚が泳いでいるのでしょうかね。自然の中で遊んでいると、木の棒も木の実も土も、いろんなモノが変身します。子どもたちの想像力って本当にすごいなって思いながら、私たちも子どもの遊びの世界にはいいて一緒に楽しませてもらっています。

Panel discussion

【臨床発達心理士/齋藤さん】
 自然の中で遊んでいると、棒はいたるところに落ちています。子どもは棒が好きなので、必ず拾いますね。最初は小さな棒切れが段々大きい棒になる。そうすると親心としては、危ない、ケガをさせたらどうしようと心配になる…。でも、この時は誰も棒を持つことを止めていません。「そんな長い棒は無理でしょう」「もっと小さいのにしたら?」とも、誰も言わずに見守っていました。だから、子どもは自分で坂の途中まで行って、尻もちをついて座った途端に“おさかなつり!”になったんですよね。もし誰かが止めていたら、あの発想は出てこなかったかもしれません。
 子どもは、本当に自由に、遊びたいように遊びながら、自分の世界を広げ、創り出していきます。発達倫理学的には、見立て遊びやふり遊び、ごっこ遊びができるようになるのは、認知的な発達が進んでいるということです。

【作業療法士/元住さん】
 新しいこと、特に身体の動きを伴うことを意図的にやってみるとき、頭の中ではまず「やりたい」ことをイメージする、次にどうやったらできるか?動きなどの順序を計画する、そしてやってみる。この一連のプロセスを、子どもたちは意識しないで、遊びの中で日々繰り返しやっているものです。そして、やってみて上手くいかない時には、その都度修正してやり方や計画を変えていく。この動画の子も、途中で計画を変えながら、最後まで楽しんでいた。こういう体験が、ちょっと難しそうでも「やってみよう!」という気持ちにつながるのだと思います。こうしたプロセスのある遊びをどんどん出来る子もいれば、感覚のアンバランスさや、脳の処理機能がうまく働かずに、苦手な子もいます。でも、どんなタイプの子にも、成功体験は大事です。自由な外遊びの場面は、失敗がない、できた・できないの評価もない、計画と違ったとしても楽しめちゃう要素が豊富にある、だから、達成感や満足感につながりやすい、自信も育つ。本当にいいです。

受講者の感想

オンライン会議システム「ZOOM」を会場に、動画で実際の活動の様子を共有しながら専門職がそれぞれの視点からディスカッションをするという、初めての講座スタイルでの開催でしたが、「わかりやすい」「納得感がある」等、多くの方からよい評価を頂いています。また、オンラインでの開催が功を奏したのか、幼児を子育て中の保護者の方や子育て支援者・プレーリーダーだけではなく、保育園で働く保育士の方、学童保育指導員の方、元小学校教諭の方等幅広い属性の方にご参加いただけました。

自然の中での外遊びやお友達と関わりながら遊ぶことの相互作用を改めて実感しました。子どもは身体の使い方を遊びの中で実践しながら学んでいる最中だということ、自然の生き物と触れることの重要性、自然が多種多様なおもちゃになり遊びが生まれるということが分かりました。(保護者)

子育ては大人の価値観の中で先回りして、あれこれ言わなくてもよい。信じていれば、子ども自身が遊びの中で身体を育て、人との関り方を学んでいくのだということを、動画を通して実感しました。保育園、幼稚園の先生方にもぜひ見てほしいと思いました。子どもと向き合う大切な視点として。(元・保育士/現・子育て支援者)

子どもたちの向き合う時の大人の姿勢について、子どもたちが出してくれている、泣く、ため息、アイコンタクトなどのひとつひとつを、私はキャッチできているか?…考えさせられました。

これからの保育・子育て支援

保育、教育で有名な汐見先生も「これからの保育シリーズ「10の姿で保育の質を高める本」の中でこう言っています。
「これからのAI社会を生きる世代には、①身体を使うこと、身体で覚えていく等が大好き!②自分で考えること、工夫すること、討論すること等が大好き!③人と関わって何かをすることが大好き!人と共感しあうことが大好き!という人間的な資質を幼いころからしっかりと育てていくことが、逆にとても大事になってきます、と。
この3つが育つ要素が外遊びにはたくさんあると考えています。そして実際に外で遊び、育ちゆく子どもの姿を動画というかたちで発信することを通して、多くの方がこれからの保育・子育て支援のあり方を考えるきっかけになれるようこの講座を続けていきます。初の試みにご参加頂いた皆様ありがとうございました!

次回の開催情報は「講座一覧」のページにアップしていきます!

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