いつも木材や布、ござなどを使って基地づくりをする小学生の兄弟がいる。プレ―ワーカーが関わらなくても、アイディアも工夫も尽きない。場所、外観、内装を、そのときどきで変えていく。よくこんなに思いつくな〜、と感心してしまうほど。これだけ次々にアイディアが出てきて、自分たちでどんどん遊ぶのは……いったい何故だろう?
その秘訣は……風呂にあり
あるとき、お父さんが話してくれた。「プレーパークで過ごした日は、風呂でその日あったことを話すんです。最近は、こんな基地が作りたいって言う子どもと、じゃあこうするのはどうかな、こんな道具が使えるかも?とか一緒に話しています。毎回、みんなで次に作るものをイメージしているうちに、勝手に自分達で基地を作り続けるようになりましたね」
テレビでもおなじみの澤口俊之先生(認知神経科学)の『幼児教育と脳』(文春新書)の中に、「未来志向性」という言葉が出てくる。目標や目的をもって進んでいく未来に対する積極的な姿勢のことだそう。「未来志向性があればこそ、自発性はより確固たるものになり、体系だった努力も自発的に行うようになるのだ。」(同書より)
お父さんの「子どもが興味を持ったことについて話す」という関わりが、子どもたちを未来志向なマインドにし、基地づくりへの飽くなき挑戦へとつながっているのかもしれない。
話して膨らむ「もっともっと!」
遊ぶ子どもたちの中に湧き上がる、言葉にならない「これが楽しい!」「もっともっと!」という情熱。友達や家族、プレーワーカーと話すなかで、それがどんどん具体的に、じゃあこうしよう、ああしようと形になっていく様子は、遊び場でもよく目にする。また、ゲーム以外にやりたい遊びがなかったり、少しでも難しそうだと「いいや」「やりたくない」としり込みする子たちにも、その子が何に「楽しい」と感じるかな?をプレーワーカーも一緒に探りながら、やりたいことの追求に付き合いたいと思っている。
週末の30分……お風呂でもご飯の時間でも、その日面白かったことをわいわい話す。みなさんのご家庭でもぜひ、やってみては? 子どもの自発性がどんどん育つ、かもしれないですよ!
※プレーパーク新聞vol.68(2017年9月発行)に掲載の、プレーワーカーによるコラムを編集のうえ転載しています。