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子どもの「やって! やって!」に、大人はどう出る?

ある日の午後、ある女の子がバケツで水を運ぼうとしていた。そのそばを通ったとき、「ねぇ、これ運んで!」と声をかけられた。

僕「え、俺が?なんで?」
女の子「大人でしょ。力あるんだから運んでよ!」
僕「いやー、それ重いんでしょ。運びたくないよ。」
女の子「大人げない!やってよ!」
というやりとり。さて、どうしたものか。

僕「これを運んで、何をするの?」
女の子「落とし穴作ってるから、水入れたいのー。」
僕「なるほど!それは面白そうじゃないか。」
女の子「じゃぁ、手伝ってよ!」
僕「むむ、でも俺もあっちで基地作ってるところなんだよ。」
女の子「えー、今歩いてただけじゃん。」
僕「いやー、白い布があっちに落ちてるからとりに行くところなんだな。」
女の子「じゃぁ、私が布とってきたら、その間にバケツ運んでくれる?」
僕「おっ、それならいいよ!やろうぜー!」

その後この子には、何度か手伝いを頼まれた。でも、「○○がしたいから、△△を手伝って!」と、説明するようになった。また、「手伝ってくれたら、代わりに□□やるから」と、交換条件を出して交渉することも。さらに、彼女が提示した条件で僕がOKしない時は、「どうしたら手伝ってくれる?」と、こちらの意向を尋ねたり、自分のしたいことが、どんなに楽しいか?を、アピールしたり。アピールが上手く、つい一緒に遊びたくなって手伝ったことも(笑)。反対に、僕のしたいことに誘って一緒にあそんだこともあった。

大人は子どもを手伝うもの、という常識がある気がしている。僕だって大人だから、子どもが本当に困っているときは助ける。でも、大人である僕にもやりたいことや考えがある。それをすべて飲み込んで、子どもの要求を満たしてあげるのは違うように感じる。意思のある僕を、それでもその気にするにはどうしたらいいか?を考えてアプローチするほうが、ぜったい楽しい。こうしてその子と互いの遊びを出入りして楽しめたのは、互いのやりたいを尊重し合えたからなように思うのだ。

やーさん

※プレーパーク新聞vol.69(2017年11月発行)に掲載のコラムを、編集のうえ転載しています。

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