きみの「すきなこと」を見つけよう

来園者の母が、こんな話をしてくれました。こどもの森でクラフトを好きになり、家でも工作あそびを楽しんでいる子です。
「最近まで、子どもに好きなことを発見してほしくて、科学や宇宙などいろんな興味を引き出すような塾に通っていた。ある日、工作に集中してしているときに、『塾の時間だよ』と言って、子どもの手を止めさせた。その時に『あれ? これが彼の好きなことなのでは……?』と考え込んでしまい、結局塾をやめることにした」

私はその話を聞いて、こどもの森で出会う、「好きなこと」がわからない子どもたちの姿を思い出しました。はじめてこどもの森に来て、滑り台やアスレチック遊具がないことを知ると、所在なげに「何をすればいいんですか」とプレーリーダーに聞く子どもたち。結局つまらなそうなまま帰っていき、その後姿を見ることがないと、私は自分の力不足を痛感し、申し訳ない思いでいっぱいになります。

「子どもはわんぱくで奇想天外、天衣無縫にあそぶもの!」と、大人は型にはめて思ってしまいがち。だけど、小学校1年生ですらすでに、大人の「これをしなさい」という指示がないと一人であそびだせなかったり、自分は何が好きで、何が得意かがよくわからない、という子たちは珍しくありません。それは当然といえば当然です。どこに行っても、あそび方が決められていて、「勝手」なことをしたら叱られることの方が多いし、大人はよかれと思って、あれをしたら、これをしたら、と「役に立つ体験」をせっせと促すのですから。それなのに突然、「あなたの好きなことをしていいんだよ」と言われると、逆に困ってしまうのも仕方ありません。

だから私たちプレーリーダーがそこにいて、「何が好き?」を一緒に探りたいと思っています。その子が十分に自分の手足や感情を動かしてあそぶことができたら、自然と「もっとやりたい」「次はこれがしたい」という欲求が湧き上がってきます。最初はおっかなびっくり、何かするたびに「〇〇していいですか?」と質問していた子が、やがてプレーリーダーそっちのけで意味のない(笑)ことに熱中する姿を見るたび、私はたまらなくうれしくなります。そして思うのです、こどもの森のような、何もないけど見方さえ変えれば何でもある、みどりの自然と「自由」のある場所が、子どもたちには必要なんだと。

親は「いろんな体験をしてほしい」と子どもに願うもの。実は、子どもに必要な「いろんな体験」とは、何も難しいことではなく、特に低学年のうちは、ただ外で自由にあそぶことの中に、だいたい含まれていたりします。だって子どもはあそんでいるとき、驚くほどいろんなことを経験し、挑戦し、心を動かされているんですから。

プレーリーダー はる

※こどもりもりvol.23(2018年12月発行)に掲載のコラムを、編集のうえ転載しています。
写真はコロナ対策期間以前のものです。現在はマスクを着用しております。